ゴイシツバメシジミ♂  (北ラオス) Shijimia moorei moorei
Moore's Cupid (Laos)
種分布:アッサム、南中国、台湾、日本、ミャンマー、北ラオス、ベトナム

記録:2015/9/27
場所:バンビエン、ラオス (Vang Vieng, Laos)

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ゴイシツバメシジミ♂ 表面 (北ラオス)

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ゴイシツバメシジミ♂ 裏面 (北ラオス)


♂♀類似斑。小型種。日本にも分布し、ラオス産は日本産と同一の原名亜種とされる。日本では国の天然記念物に指定され、採集は禁止されている。

表示亜種 moorei ♂ (北ラオス)
亜種mooreiの分布:南中国、日本、北ラオス、ベトナム

ラオスではバンビエンの標高200~300m程度の地に棲息し、山地の渓流沿いで吸水にくる。動物性ベイトに誘引される。渓流沿いの地面を飛翔したり、草本の葉に静止する個体も見られるが、殆どの個体が吸水がらみで現れたものである。
雨期末期の9月末~10月初めに、少なくなった水量の渓流沿いが好適地で、湿った岸辺をチラチラと飛翔する。飛翔中は黒っぽく見え、タイワンクロボシシジミ (Megisba malaya)やヒメウラナミシジミ属 (Prosotas)の種類と混同しやすい。バンビエンでは、ポタニーニクロツバメシジミ(Tongeia potanini)と混棲する。この種とも混同しやすい。
バンビエンでは雨期末期に個体数は多い。他の場所では見られず、棲息範囲は極めて局地的である。また乾季には見られず時期も限定的である。バンビエンでは限定した時期に多産するので、特異な場所という印象がある。だが、保護されているわけでもなく、個体数は多い。
実は初めて本種を採集したとき、ゴイシツバメシジミと認識していなかった。本種とわかったときは、日本の天然記念物をラオスで採集したという新鮮な驚きがあった。日本では自然林の奥深くでひっそりと棲息する種類と思っていたが、強い陽射しが当たる暑い渓流沿いで吸水する本種を採集したときは、場所が変わるとこんなにも違うんだと驚いた。吸水にくる小さく黒っぽいシジミは採集しないことも多いので、このときは採集して良かったと思った。

翅表の地色は黒褐色で、ほぼ無紋である。翅裏の黒色斑が透けて見えるような不鮮明な斑紋が翅表に現れる。
翅裏の地色は灰白色で、前翅の外縁には黒褐色細線が縁取り、内側に2本の黒褐色細線条が並列する。外中央に碁石状黒斑が縦に並び、中室端に矩形状黒斑が配置する。後翅裏面の外縁にも黒褐色細線が縁取り、内側に黒褐色斑が2本線状に並ぶ。この内第2室の斑紋が大きい。外中央に碁石状黒斑が円弧状に並ぶが、第7室の斑紋が大きい。中室端に矩形状黒斑が配置し、亜基部に黒斑が2個、内縁に不明瞭な黒斑が配置する。