タイワンイチモンジ♂ (台湾) Athyma cama zoroastes
Orange Staff Sergeant (Taiwan)
種分布:北インド、南中国、台湾、ミャンマー、タイ、インドシナ、北ボルネオ

記録:2018/4/6
場所:埔里、台湾 (Puli, Taiwan)

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タイワンイチモンジ♂ 表面 (台湾)

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タイワンイチモンジ♂ 裏面 (台湾)


♂♀異型・異斑。♀はかなり大型で明瞭なミスジ型。

表示亜種 zoroastes ♂ (台湾)
亜種zoroastesの分布:台湾→♀
他亜種 camasa 分布:西・南中国、ラオス→♂、ベトナム

タイ半島部からマレー半島、スマトラにはタイワンイチモンジは分布しない。マレー半島、スマトラには、代置種のアッサミナミイチモンジ (Athyma assa)が分布する。ボルネオでもアッサミナミイチモンジが分布し、北ボルネオでは、タイワンイチモンジとアッサミナミイチモンジは混生する。

台湾では、低地や1,000m前後の低山地に生息し、明るい林道でテリを張っていたり、小川沿いの地表近くを飛翔していたり吸水にきたりする。動物性ベイトに誘引される。尾根沿いの樹林地では、樹冠でテリを張っていたり、占有行動をとる個体が見られる。
飛翔は一般に速くなく、地面に静止する個体に近づくと飛び立ち、少し先に静止するという行動を繰り返す。
ヤエヤマイチモンジ(A. selenophora)と混生する場合が多い。個体数は本種タイワンイチモンジの方が少ない。台湾では生息範囲は広く、稀な種類ではない。タイやインドシナでは個体数はさほど多くない。ボルネオでは1,600m程度の標高が高いところに生息し、稀な種類である。

台湾亜種zoroastesの♂は淡青白帯が明瞭なイチモンジ型であるが、インドシナの亜種camasaは中室と後翅外中央に不明瞭な淡褐色線条が現れる弱ミスジ型、北ボルネオ亜種ambraは後翅外中央に白条が現れるフタスジ型である。
台湾亜種の♂地色は黒褐色。前翅前縁中室端に大きな淡青白斑があり、続いて前翅中央に淡青白線条があり、後翅前縁から内縁に淡青白線条が配置する。全体で明瞭なイチモンジ斑をつくる。また、前翅の翅頂部に橙斑を現わし、後翅外中央に不明瞭な淡橙線条斑を現わす。個体によって、前翅表面中室に弱い淡橙線条を現わす。
♂の翅裏の地色は黄褐色で、斑紋構成は翅表と類似するが、前翅中室の線条と後翅外中央線条斑は灰白色になり、明瞭に現われる。さらに前翅裏面亜外縁に灰白色の斑紋列があり、後翅裏面の基部から前縁に灰白色線条斑が配置し、後翅外縁に弱い灰白色線条斑が配置する。また、前翅中央白条の両側第1b室には褐色斑が現われ、後翅中央白条の外側に褐色線条斑が現われる。