ベニモンアゲハ♂ (タイ) Pachliopta aristolochiae goniopeltis
Common Rose (Thailand)
種分布:インド、南・東中国、ミャンマー、タイ、インドシナ、台湾、八重山諸島、マレー半島、ジャワ、小スンダ列島

記録:2016/3/13
場所:ムアンガイ、タイ (Mueang Ngai, Thailand)

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ベニモンアゲハ♂ 表面 (タイ)

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ベニモンアゲハ♂ 裏面 (タイ)


♂♀類似斑。広域に分布する種で、変異が大きい種でもある。

表示亜種 goniopeltis ♂ (タイ)
亜種goniopeltisの分布:ミャンマー、タイ、ラオス→♀、ベトナム
他亜種 asteris 分布:マレー半島、ランカウイ→♂

多くの地域で、シロオビアゲハの♀の擬態モデルになっている。
低地から1,000m以下の低山地に棲息地が多い。高標高側では少なくなる。村落周辺の2次林や草地、山地の草地が混在する疎林などで飛翔したり、草本で吸蜜したりする。渓流沿いでも見られ、吸水に現われる。動物性ベイトに誘引される。
飛翔は緩やかで、飛翔中は黒色に赤紋が目立つ。タイ北部では、アダムソーニミヤマベニモンアゲハ (Byasa adamsoni)モンキアゲハ(Papilio helenus)など黒系アゲハと混棲し、同所的に吸水に現われる。小川沿いの日陰で吸水し、陽が当たる頃には減少してアオスジアゲハ属の種類等と置き換わる。吸水の時間帯は10時以前が多い。疎林などで飛翔するときは長い時間帯で見られ、シロオビアゲハは生態的にも類似する。
棲息範囲は広く、個体数は各地で多い。

一般にベニモンアゲハは後翅中央に白斑があるが、分布のほぼ中央、ボルネオ、スマトラ等に、後翅に白斑がない黒いベニモンアゲハが分布し、本種の亜種とされていた。2004年にこの黒いベニモンアゲハは別種クロベニモンアゲハ(P. antiphus)として分離された。クロベニモンアゲハの分布域で白紋がある型は得られていないが、バリ、ジャワなどの本種は白紋がある型に黒い型が混じる。
本亜種goniopeltisの翅表の地色は黒色で、前翅中央付近の翅脈両側は灰白色になり、全体で灰白帯があるように見える。後翅表面の亜外縁にくすんだ赤紋を現わす。中室の下部、第1a室~第5室に白斑が並び、第1a、第1b室の斑紋はピンク色を帯びる。このピンク色は、個体によって出現度に強弱がある。
翅裏の斑紋構成は翅表と類似するが、前翅の灰白帯はより目立つ。後翅裏面の亜外縁の斑紋は赤みを帯び、表面のものより明瞭。胴部は赤色になる。
表裏ともに、尾状突起に紋は現れず、オオベニモンアゲハでは赤斑が出現するのと異なる。