ルリオビアゲハ♂ (ボルネオ) Papilio palinurus palinurus
Burmese Banded Peacock (Borneo)
種分布:南ミャンマー、タイ半島部、マレー半島、ランカウイ、スマトラ、ボルネオ

記録:2017/2/28
場所:ラナウ、ボルネオ、マレーシア (Ranau, Borneo, Malaysia)

170426Eb01SW
ルリオビアゲハ♂ 表面 (ボルネオ)

170426Eb02SW
ルリオビアゲハ♂ 裏面 (ボルネオ)


♂♀類似斑。♀は前翅の帯の外側の色が淡く、後翅肛角の赤色紋が発達する。

表示亜種 palinurus ♂ (ボルネオ)
亜種palinurusの分布:南ミャンマー、タイ半島部、マレー半島、ランカウイ、スマトラ、ボルネオ

本種は低山地に棲息するアキリデスで、マレー半島の高地キャメロンハイランドでは稀で、ランカウイ島など低地で多く見られる。スマトラでは稀で、ボルネオではマムートなど1,000m前後の中山地にやや普通に見られる。
自然林の林縁や開けた空間を飛翔し、ブッシュに混在するランタナに吸蜜に現われる。渓流沿いで飛翔する個体は稀で、吸水にくる個体は観察していない。動物性ベイトにも誘引されない。
飛翔は速く、飛翔中はルリ帯がよく目立つ。ランタナで短時間吸蜜して花から花へ移動するので、採集や写真撮影はポイントを絞る必要がある。樹木近辺を飛翔するせいか破損している個体が多く、きれいな個体は少ない。
年間の発生時期は未確認であるが、マムートでは2~3月に多く見られ、7月には見られなかった。マムートではカルナルリモンアゲハと混棲するが、個体数はカルナルリモンアゲハの方がかなり少ない。カルナルリモンアゲハはより低地性で、むしろ標高数100m程度の低山地に多い。

翅表の地色は黒色で、全体にルリ色の鱗粉が微細に散布する。前翅中央と後翅外中央に鮮やかな太いルリ色の斜帯があり、その内側のルリ色の鱗粉は密になる。後翅表面の前縁端付近に淡茶白色の斑紋があり、外縁の各室にはルリ色斑が配列し、肛角部第1b室では黒斑を内包する暗赤色斑がある。尾状突起は長く、先端が太くなる。
翅裏の地色は黒色で、前翅中室から上方は広く灰褐色になる。前後翅共に中央から基部まで、灰色の鱗粉が散布する。後翅裏面の外縁の各室には暗橙斑が現われ、第7室では内側に灰白色を伴い暗橙斑は大きく目立つ。また、第1b室では翅表と同様に、黒斑を内包する暗赤色斑がある。