ダンフォルディフタオ♀ (ボルネオ) Charaxes durnfordi everetti
Chestnut Rajah (Borneo)
種分布:南ミャンマー、タイ半島部、マレー半島、大スンダ列島

記録:2020/2/21
場所:コタキナバル、ボルネオ、マレーシア (Kota Kinabalu, Borneo, Malaysia)

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ダンフォルディフタオ♀ 表面 (北ボルネオ)

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ダンフォルディフタオ♀ 裏面 (北ボルネオ)


♂♀同型、同斑。♀は大形となり色調は淡化する。

表示亜種 everetti ♂ (北ボルネオ)
亜種everettiの分布:北ボルネオ

400m程度の低地の原生林に棲息し、林内を主な生活圏として林縁から外で見られることは少ない。♀はパイナップルトラップに誘引される。
ボルネオで出会った1♀しかデータはないが、木に吊るしたパイナップルトラップに翅を閉じて静止していた。したがって、飛翔中の観察経験はない。トラップに静止していた個体を見たときは、灰色の裏面と尾状突起から今まで見たことがない種類と直ぐに分かったものの、種名は思い浮かばなかった。実はこの種はボルネオにいると知っていたものの、極めて稀な種類であるため見ることはないと思い込んでいた。とにかく逃してはいけないと慎重に近づいた。途中でもしやダンフォルディフタオ?と思ったが、採集して確かめようと思い、トラップごとネットに入れた。ネットの中で暴れることはなく、幸い破損は少なかった。取り出して、ダンフォルディフタオと確認したときは、意外性から呆然となった。率直な感想は、こんなところにいるんだ!と思った。それもそのはず、本種は低地性の種類で、村落近くでも低地原生林が棲息地であることを思い出した。この地で飛翔している本種は見たことがないが、高所を飛翔しているのか、見る機会がないのか、見ても種名がわからなのか、全く見当がつかない。
棲息地は局地的で、どこでも稀な種類である。低地の原生林が棲息地であるので開発で失われやすく、今後の保全が気がかりである。

♀の翅表の地色は灰黒色で、中央から基部は淡茶褐色になる。前翅表面の外縁には、淡茶褐色の不鮮明な斑紋が各室に配置する。前翅の外中央と中央には、波型の灰白色斑が縦に2列に並ぶ。後翅表面の中央から外縁にかけて、長いゲート状の灰白色斑が各室に配置し、ゲート状斑内は灰黒色でその中央に灰白色斑が現われる。また、後翅内中央に不明瞭な灰黒色斑がある。前後翅の灰白色斑紋群は独特で、本種の外観に特徴的な印象を与えている。
♀の翅裏の地色は灰白色で、翅表と同様な斑紋が淡色で現れる。また、前翅裏面の中央から基部には、黒褐色斑が複数現われる。後翅裏面の第7室中央に円状黒褐色斑があり、中室端第3室に明瞭な黒褐色斑がある。第1脈と第3脈に尾状突起があり、第3脈の尾状突起は長い。