キナバルミカドアゲハ♂ (ボルネオ・キナバル山) Graphium procles procles
Kinabalu Bluebottle (Borneo)
種分布:キナバル山付近の特産種

記録:2019/7/18
場所:クンダサン、ボルネオ、マレーシア (Kundasang, Borneo, Malaysia)

190905Eb05SW
キナバルミカドアゲハ♂ 表面 (ボルネオ・キナバル山)

190905Eb06SW
キナバルミカドアゲハ♂ 裏面 (ボルネオ・キナバル山)


♂♀類似斑。♂は後翅内縁に折返しがあり折返し部に毛束があるが、♀は毛束を欠く。

表示亜種 procles ♂ (ボルネオ・キナバル山)
亜種proclesの分布:ボルネオ・キナバル山

キナバル山麓の1,200m付近より高標高側に棲息し、低標高側では見られない。渓流に沿う山道や渓流沿いを飛翔し、吸水に現われる。また、動物性ベイトに誘引される。
飛翔は速く、飛翔中は黒に水色が見えミカドアゲハと類似する。地表付近など低位置を直線的に飛翔することが多い。Graphiumではキナバルオナガタイマイアオスジアゲハと混棲するが、ミカドアゲハは同地で見たことがないので、飛翔中でも本種は区別できる。個体数は本種が最も少なく、キナバルオナガタイマイがやや多く、かつキナバルオナガタイマイの方が低標高側でも見られる印象がある。
本種の棲息範囲は局地的で、キナバル山固有種の中でも少ない。年間の発生時期は未確認であるが、2月、7月に発生を確認している。

翅表の地色は黒色で、ミカドアゲハ型の水色斑が現われる。類似種では前翅第1~3室の中央斑紋が分離することが多いが、本種では融合し中央帯となる。後翅と合わせ縦断する中央帯となり、中央帯は類似種より幅広い。中央帯の後翅第7室斑は白色になり、後翅の中で最も幅広い。
翅裏の地色は黒色。斑紋は翅表と同様であるが、後翅中央帯下部の周りに赤斑が散在する。後翅中央帯の内側は、等幅の黒線条と直線状に接する。
類似種とは前記の中央帯形状で区別できる。