クジャクアゲハ♂ (北・中ラオス) Papilio bianor triumphator
Common Peacock (North Laos)
種分布:中国、朝鮮半島、台湾、八重山諸島、ミャンマー、タイ、ラオス、ベトナム

記録:2018/3/31
場所:ナムファン、ラオス (Nam Fang, Laos)

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クジャクアゲハ♂ 表面 (北・中ラオス)

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クジャクアゲハ♂ 裏面 (北・中ラオス)


♂♀類似斑。♂の前翅表面には黒色ビロード状の性標がある。
ヤエヤマカラスアゲハともよばれる。日本産のカラスアゲハの位置付けが再検討されたとき、種名Papilio bianorは八重山諸島産に与えられることになった。これに伴い、和名はヤエヤマカラスアゲハとよばれることが多いが、種P. bianorは台湾やインドシナにも分布するので、ヤエヤマを冠することに違和感がある。ここでは、「タイ国の蝶vol.1」に従い、クジャクアゲハとよぶことにする。

表示亜種 triumphator ♂ (北・中ラオス)
亜種triumphatorの分布:北東タイ、北・中ラオス、中ベトナム
他亜種 thrasymedes 分布:台湾→♂

北ラオスでは標高500m程度の低山地から、1,500m程度の中山地に生息地が多い。プーサムスン付近では、麓の1,500m程度の標高地では本種が見られ、1,900m以上の高地でオオクジャクアゲハが生息し、本種は見られない。本種は基本的に山地の蝶で樹林地や渓流沿いを飛翔したり、吸水に集まったりする。動物性ベイトに誘引される。
飛翔は速く、飛翔中は日本のカラスアゲハのようである。所により、ルリモンアゲハオナガタイマイなどと混生し、同所的に吸水に集まる。生息地はやや限定され、生息地では個体数は少なくないが、多くもない。

翅表の地色は黒色で、前翅の各翅脈の両側には青緑色の鱗粉が散布する。後翅表面の第6、7室には青色斑が広がり、その下方には青緑色の鱗粉が一様に散布する。また、第1~5室外縁に赤色の弦月紋が配列する。第4脈の先に尾状突起が延び、尾状突起中央にも青緑色鱗粉が散布する。
翅裏の地色は黒色で、前翅の基部側と中室を除き、翅脈の両側は灰白色になると共に、中室内には灰白色麟が疎に散布する。後翅裏面では、中央から基部側に灰白色麟が疎に散布する。後翅裏面の各室外縁には、淡青白条を内包する赤色の弦月紋が配列し、よく目立つ。