スズキミスジ♂ (台湾) Neptis soma tayalina
Cream-Spotted Sailor (Taiwan)
種分布:インド、ネパール、中国、台湾、ミャンマー、タイ、ラオス、マレー半島

記録:2018/6/9
場所:埔里、台湾 (Puli, Taiwan)

200704Eb15SW
スズキミスジ♂ 表面 (台湾)

200704Eb16SW
スズキミスジ♂ 裏面 (台湾)


♂♀類似斑。♀はやや大型で、翅形は丸味を帯びる。

表示亜種 tayalina ♂ (台湾)
亜種tayalinaの分布:台湾
他亜種 shania 分布:ミャンマー、タイ、ラオス→♂

標高1,000m前後の低山地に棲息地が多い。主に樹林地で見られ、林内の山道の地表付近に静止していたり、渓流近くの地面でミネラルを吸収していたりする。
飛翔は滑空型で、生態は亜種shaniaと大差ない。埔里近郊の樹林地では、コミスジやタイワンミスジと混棲する。個体数はそれぞれ同程度見られ、少なくない。
年間の発生時期は未確認であるが、埔里近郊では3月末から見られた。

翅表の地色は黒褐色で、タイ、ラオス等の亜種shaniaより明るい個体が多い。前翅表面の線条と先端の3角斑は、他亜種と同様に分離する。
翅裏の地色は、一般に明るい褐色であるが、その色彩の幅はかなりの変異がある。前翅裏面の線条と先端の3角斑は、亜種shaniaと比べ明瞭に分離する。後翅裏面の中央白帯は、内縁側で細く、前縁にに向かって強く幅広になる。後翅裏面の中央白帯と外側白帯の幅の差は、コミスジのように大きくなく、中央白帯の最も狭い部分の幅は外側白帯の最も広い部分の幅とほぼ等幅で、コミスジのように差が2倍に達することはない。亜外縁白条は、外側帯と翅の外縁の中央よりやや内側位置するため、近似種に比べて遥かに内側にずれているように見える。外側白条も他種に比べて遥かに内側に位置し、第3室前半〜第4室後半部で一度消失するように見える。この性質は、台湾産小形5種では♂♀共に本種に限るので、この特徴があればスズキミスジと同定できる。また、この特徴は亜種shaniaでは見られず、亜種の区別にも有効である。