タイワンルリモンアゲハ♂ (台湾) Papilio hermosanus hermosanus
種分布:台湾特産種。

記録:2017/5/26
場所:埔里、台湾 (Puli, Taiwan)

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タイワンルリモンアゲハ♂ 表面 (台湾)

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タイワンルリモンアゲハ♂ 裏面 (台湾)


♂♀類似斑。♀は♂に見る前翅表面の性標を欠く。ルリモンアゲハの台湾中・南部における代置種。

表示亜種 hermosanus ♂ (台湾)
亜種hermosanusの分布:台湾→♀

埔里近郊の樹林地では、標高400m程度の低地から1,000前後の低山地に広く生息する。樹林地の山道や渓流沿いを飛翔したり、草本の花で吸蜜したりする。山道の留水でよく吸水に現われる。動物性ベイトに誘引される。
飛翔は速くなく、地表付近など低位置をヒラヒラと飛翔する。飛翔中はルリ紋が目立つ。ワタナベアゲハオナシモンキアゲハなど黒系のアゲハと混生し、同所的に吸水する。時期によって種類の個体数は変化するが、多数が集まって吸水する光景は圧巻である。本種の個体数は、これらのアゲハの中では少ない方であるが、少ない種類ではない。
年間の発生時期は未確認であるが、埔里近郊では3月末から見られ、以降継続して発生している。

翅表の地色は黒色で、全面に青緑燐が散布する。♂の前翅表面外中央の翅脈上に黒色の性標を現わす。翅表の斑紋はルリモンアゲハ型で、後翅表面のルリ紋は大きくよく目立つ。また、ルリモンアゲハに見る後翅肛角の暗赤色円環は、本種での出現は弱く目立たない。
翅裏の地色は黒色で、前翅翅頂~前縁付近から外中央の各室に灰色の細帯が現われ、前縁から続く灰色帯のように見える。また、前翅肛角に灰白斑が現われる。後翅裏面基部から中央に灰色燐が密に散布し、外縁の各室に暗赤色の円環が現れる。
ルリモンアゲハと類似する。ルリモンアゲハは♂に性標がないが、本種タイワンルリモンアゲハには♂前翅下部に性標がある。