キシタアゲハ♂ (タイ) Troides aeacus aeacus AppendixIIアイコン
Golden Birdwing (Thailand)
種分布:ヒマラヤ、南中国、台湾、ミャンマー、タイ、インドシナ、マレー半島

記録:2013/9/6
場所:ムアンガイ、タイ (Mueang Ngai, Thailand)

160624E005SW
キシタアゲハ♂ 表面 (タイ)

160624E006SW
キシタアゲハ♂ 裏面 (タイ)


♂♀異斑。♀は一般に大型で、後翅黄色部内に黒斑が散在する。

表示亜種 aeacus ♂ (タイ)
亜種aeacusの分布:ヒマラヤ、南中国、ミャンマー、タイ、ラオス→♀、ベトナム、カンボジア

低地から1,000m以下の低山地に生息地が多く、標高が高くなると少なくなる。村落近辺や山間部の樹林地近辺の林縁を飛翔したり、渓流沿いを飛翔したりする。時として♂は吸水に集まるが、吸水集団になることは珍しい。動物性ベイトに誘引された個体は観察していない。
飛翔は速く、樹林地から離れ上空高くをとぶこともある。青空を背景に翅を広げて滑空するときは、濃黄色が映えてトリバネアゲハという名称がぴったりする。ヘレナキシタアゲハと混生することが多く、同所的に飛翔する。キシタアゲハの方が濃黄色で、やや小型に見えるが、飛翔中に区別することは難しい。個体数は一般にヘレナキシタアゲハの方が多い。タイ北部では本種の個体数は多く、特に乾季の2~3月に多く見られる。

♂の前翅表面の地色は黒色で、中室から外縁にかけて翅脈両側に灰色燐が散布する。後翅表面の地色は鮮やかな濃黄色で、翅脈は黒色となる。後翅外縁では、山型の黒色斑が各室に現われる。
♂の翅裏の斑紋構成は翅表と同様であるが、前翅裏面では翅脈両側に灰色燐は拡大する。
ヘレナキシタアゲハと類似する。マレー半島以北では、キシタアゲハはヘレナキシタアゲハと分布が重なる。両種は良く似ているが、キシタアゲハ♂は、(1)後翅表面の亜外縁黄色端部の2、3室(時に4室)に薄く黒色が散布されるが、ヘレナキシタアゲハにはこれがない。(2)後翅裏面第7室の黄紋がヘレナキシタアゲハでは基部上半部に黒帯が入るが、キシタアゲハは室全体に黄紋が広がる。これらの点から区別は容易である。