ヘルシリアルリシジミ♂ (ラオス) Celastrina hersilia sudjaii
種分布:インド、中国、北タイ、ラオス

記録:2018/3/27
場所:プーサムスン、ラオス (Phou Samsoum, Laos)

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ヘルシリアルリシジミ♂ 表面 (ラオス)

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ヘルシリアルリシジミ♂ 裏面 (ラオス)


♂♀異斑。♀の前翅表面の前縁~外縁は太い黒縁が現われ、内側は白色になる。
北タイ、ラオスに分布が確認され、2018年に新亜種として記載された種。表示した個体も同時期に採集したもの。

表示亜種 sudjaii ♂ (ラオス)
亜種sudjaiiの分布:北タイ、ラオス

ラオスでは、プーサムスンの2,000m付近など、高標高側で生息を確認している。原生林の渓流沿いなど地表付近を飛翔し、♂は吸水に現われる。
飛翔は緩やかで、♂は吸水地附近をチラチラと飛翔する。プーサムスンでは、ハルカゼアゲハが高速で飛翔する渓流岸で、本種やタッパンルリシジミ、サツマシジミマエルリシジミなどが同所的に吸水し、飛翔していた。3月末の肌寒い時期で、陽が陰ると一斉に姿を消す。その中でも本種の数は最も少ない。ルリ色のシジミはよく似ているので、現地で区別することは難しい。表示個体も展翅してから初めて種名を認識した。
生息地は局所的で、個体数は少ない。発生時期は3月前後の年1化と思われる。

♂の前翅表面の地色はルリ色で、翅頂から外縁にかけて黒縁が配置する他はほぼ無紋である。後翅表面の地色もルリ色で、第2〜第6室にそれぞれ灰白色斑が広がる。
♂の翅裏の地色は灰白色であり、ルリシジミ型の暗黒点が現れる。前翅裏面の中央斑列のうち、第4室の斑紋はやや傾くが、大きく傾かない。後翅裏面第1室の黒色の2点は殆ど合わさって”く”字状をなすが、明瞭に接合していない。ただルリシジミのように明瞭に分離していない。
ボルネオ等に分布する ディレクティッシマタッパンルリシジミと類似する。ディレクティッシマタッパンルリシジミの後翅表面第7室は白色であるが、本種は黒色味が強い。また、後翅亜外縁に薄紺色の点が配列するが、本種では不明瞭で目立たない。ただ、両種は分布が重ならないので、生息地で間違うことはない。