ホリシャキコモンセセリ♂ (台湾) Celaenorrhinus horishanus horishanus
場所:奮起湖、台湾 (Fenqihu, Taiwan)
種分布:台湾の特産種
記録:2023/5/24場所:奮起湖、台湾 (Fenqihu, Taiwan)
♂♀類似斑。♀はやや大型で、翅形(特に前翅)は丸味を帯びる。
表示亜種 insignis ♂ (台湾)
亜種insignisの分布:台湾
奮起湖付近の標高1,500m程度の山地で採集した1♂しかデータはないが、樹林地の林縁で草本の葉に静止していた個体。
1971年学生時代に奮起湖に行ったとき、タイワンキコモンセセリ、ヒゲジロキコモンセセリは採集したが、本種は見なかった。52年ぶり2023年に調査に行ったときは雨と低温であったが、10分ほど陽が射したとき現われたのがこの個体で、他に蝶は見なかった。この個体を採集したことで、奮起湖付近ではこの3種が同所的に生息することが確認できた。
1960年発行の台湾蝶類大図鑑には、本種は埔里地方に普通で本属中最も低山地に分布するとの記載があるが、埔里近郊の1,000m以下の地では見かけたことはなく、奮起湖のデータから埔里より奥の標高が高い方に生息するものと思われる。
生息地はやや限定され、個体数は多くないと思われる。
翅表の地色は黒色で、中央から基部側に黄褐色の毛束が現れる。前翅中央に大きな白斑が2個あり、その間に1個、下方に2個の小白斑がある。また、亜翅頂部前縁に3個、その下部に2個の小白斑が並ぶ。後翅表面外縁の各室には橙褐色の縁取りがあり、外中央に橙褐色斑が各室に配列する。この橙褐色斑の出現は個体により強弱がある。また、その内側に橙褐色斑が配列する。
翅裏の地色と斑紋は、翅表と類似するが、前翅後縁は灰白色になる。前翅の中室2個の上部白斑に接して黄色線条が現れる。後翅裏面の斑紋は大きく明瞭になり、かつ黄色味が強くなると共に、さらに内中央に同色の斑紋が現れる。
タイワンキコモンセセリと類似する。一般に、タイワンキコモンセセリの方が小型。前翅中室白斑の下部の白斑は縦長で、本種ホリシャキコモンセセリでは横長である。また、ヒゲジロキコモンセセリと類似する。本種の方が大型。前翅表面中室白斑の上に本種は黄色を帯びた細線条があるが、ヒゲジロキコモンセセリではこれを欠く。また、ヒゲジロキコモンセセリでは前翅中室2個の白斑は接して配置するがヒゲジロキコモンセセリでは離れ、2個のうち下部の白斑は本種では横長であるが、ヒゲジロキコモンセセリでは横幅が狭くなる。
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