シリアカビロードタテハ♂ (北・西ボルネオ) Terinos clarissa praestigiosa
Malayan Assyrian (North, West Borneo)
種分布:南東中国、南ミャンマー、タイ、インドシナ、マレー半島から大スンダ列島、フィリッピン、パラワン

記録:2020/3/1
場所:ラナウ、ボルネオ、マレーシア (Ranau, Borneo, Malaysia)

200501Eb09S
シリアカビロードタテハ♂ 表面 (北・西ボルネオ)

200501Eb10S
シリアカビロードタテハ♂ 裏面 (北・西ボルネオ)


♂♀類似斑。♂は前後翅に大きなビロード状性斑を現わす。亜種による形態の変化が大きい。

表示亜種 praestigiosa ♂ (北・西ボルネオ)
亜種praestigiosaの分布:北・西ボルネオ
他亜種 militum 分布:南東中国、東タイ、ラオス→♂、ベトナム、カンボジア

低地から1,000m以下の低山地に生息地が多い。自然林内の地表付近を飛翔したり、吸水に現われたりする。時に草本の花で吸蜜する。動物性ベイトに誘引される。
稀な種類ではないが、生息地はやや局所的である。
サバでは林縁近辺の草地で飛翔したり、草本上に静止していたりする個体を観察している。陽光下で緩やかに飛翔し、飛翔中は茶褐色~橙色に見え、警戒色を示している。フチグロミナミヒョウモンやウスイロネッタイヒョウモンと混生するが、個体数は本種の方が少ない。

♂の翅表の地色は黒褐色。前翅中央から後縁、および後翅中央上部は黒色ビロード状性斑となる。後翅表面の外中央から下部は橙褐色が占め、亜外縁に淡褐色の波形線条が現れる。
ボルネオ亜種♂では、前翅表面第1〜6室の大きなビロード状性斑周りに橙色の鱗粉が密に散布し、この鱗粉で前縁部と外縁に橙色の暗線条が現われるように見える。また、この鱗粉で前翅基部に不鮮明な橙色斑が広がるように見える。後翅表面には、第6〜7室にビロード状性斑を現わし、その内側には橙色の鱗粉が疎に散布する。その下部は橙色斑が外縁から肛角部まで覆う。この後翅の橙色斑は、東タイ、ラオス等の亜種militumより広い。
♂の前後翅裏面には、灰褐色の地色に灰白色の線条が縦に配置する。後翅裏面外中央から外縁まで灰白色部が広がり、この灰白色部は東タイ、ラオス等の亜種より顕著である。
採集時の個体は、♂♀共に翅表の橙褐色部の色が鮮やかで地色との対照が美しいが、標本にすると鮮やかさが失せる。
ビロードタテハ(Terinos atlita)と類似する。区別点はビロードタテハの項を参照。