キベリアゲハ♂ (タイ) Chilasa clytia clytia f. dissimilis
Common Mime (Thailand)
種分布:インド、スリランカ、中国、ミャンマー、タイ、インドシナ、マレー半島、フィリピン、パラワン、小スンダ列島

記録:2016/3/11
場所:ムアンガイ、タイ (Mueang Ngai, Thailand)

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キベリアゲハ♂ 型dissimilis 表面 (タイ)

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キベリアゲハ♂ 型dissimilis 裏面 (タイ)


♂♀類似斑。マネシアゲハともよばれる。

表示亜種 clytia ♂ (タイ)
亜種clytiaの分布:インド、スリランカ、南中国、ミャンマー、タイ、ラオス→♂ f. clytia、ベトナム、マレー半島

低地性の蝶で、標高400m以下に生息地が多いが、700m程度の山地まで観察例がある。市街地、村落の2次林などに多く、山地では少なくなる。農道を飛翔していたり草地で吸蜜していたりする。また、村落近くの小川で吸水にきたり、動物性ベイトに誘引されたりする。ラオスでは、首都ビエンチャンの公園内で吸蜜している個体が見られた。
マダラチョウ類に擬態しているので飛翔は緩やかである。飛翔中はホストと間違えやすいが、類似性はオオムラサキマネシアゲハ (Chilasa paradoxa)ほどではない。f. dissimilisは後翅外縁の橙色斑が見えるので、飛翔中でも区別できる。生息範囲は比較的広く、個体数は少なくない。
Chilasa属の中では珍しく多化性で、しかも低地性の種であり、Chilasa属の中で特異性が強い種である。

♂♀ともに2型あり、アサギマダラ型としてf. dissimilis、ルリマダラ型としてf. clytiaと f. onpapeが命名されているが、他にも型として命名されているものがある。
f. dissimilisは、リュウキュウアサギマダラ (Ideopsis similis)ヒメコモンアサギマダラ (Parantica aglea)に擬態し、翅表は黒褐色の地色に灰白色斑紋が多数配置する。後翅表面の肛角には橙色の小斑が現われる。
翅裏の斑紋は翅表と類似するが、後翅裏面の灰白色斑紋は太く大きくなり、外縁の各室に橙色斑が現われる。内側の灰白色斑と対になり規則的に並ぶ。